――― 黒と灰の狭間で生きよう、何も見失わないように ―――
恋し屍
末に別れる運命なら
その手取らぬと 斯く誓い
されども 心うらはらに
そなたの心へ寄り添った

茨の道と知りながら
そなたの傍で息をした

過去を失い 生きる糧
私の中で育んで

縁の鎖断ち切れず
願いは遥か 声を聴く

そなたの帰る道 そこに
置いて行っても構わない
恋しい事は 是非も無し

ただ今一度 声を聴く
来世こそはと 祈る屍
闇帳
緋色の縅 身に纏い
心の眼 猶燃え上がる

業 この焔 傷となれ
傷痕深く 染み渡れ

後に出遭うは 闇帳
今宵黒衣の 裾ようなびく

斬 この鎬 傷となれ
傷痕深く 染み渡れ

斯くて運命の 闇帳
武士紅く 染め上げむ

願 彼の為ぞ 傷となれ
傷痕深く 染み渡れ
闇より出でて 闇に棲み
真白に塗られた 鬼の面
朱い眼が 人を喰う

武士対峙て 闇明かり
響く鎬の 音深く
寝入る草木に 染み渡る

憎悪ばかりの 技なれば
縅纏わぬ 我が身でも
風穴一つ 開きはせぬ

待ち人来ずや 宵の口
掛かる火の粉を 掃えども
戻る道すら 闇の中
水の無い水槽
息もできぬは まんまるい
びいどろの中 彩金魚
されども外の景色さえ
遠に忘るる 彩金魚

七色ひかり 差し込んで
恋て焦がれて 裏切られ
息の仕方を教わった

びいどろの中 彩金魚
外の桜も同じもの
気付いた時には もう遅い

金魚は外では 暮らせぬと
真のきみに教わった
憐れ金魚と 嘆くとて
その門潜らば 散り果てる

びいどろの中 彩金魚
ここが住処ぞ 彩金魚
凛の祈りを秘めし蝶
その身ひらひら舞い踊り
常闇深く馳せ参ず

心の奥に住むひとよ
この身真暗に塗られども
貴方が為に馳せ参ず

その身刃で紅く染め
滴が頬を伝おうと
貴方が為に馳せ参ず

愚か蝶よと笑えども
決して揺るがぬ我が心

この身ひらひら舞い踊り
常闇深く馳せ参ず