――― 黒と灰の狭間で生きよう、何も見失わないように ―――
水の無い水槽
息もできぬは まんまるい
びいどろの中 彩金魚
されども外の景色さえ
遠に忘るる 彩金魚

七色ひかり 差し込んで
恋て焦がれて 裏切られ
息の仕方を教わった

びいどろの中 彩金魚
外の桜も同じもの
気付いた時には もう遅い

金魚は外では 暮らせぬと
真のきみに教わった
憐れ金魚と 嘆くとて
その門潜らば 散り果てる

びいどろの中 彩金魚
ここが住処ぞ 彩金魚
凛の祈りを秘めし蝶
その身ひらひら舞い踊り
常闇深く馳せ参ず

心の奥に住むひとよ
この身真暗に塗られども
貴方が為に馳せ参ず

その身刃で紅く染め
滴が頬を伝おうと
貴方が為に馳せ参ず

愚か蝶よと笑えども
決して揺るがぬ我が心

この身ひらひら舞い踊り
常闇深く馳せ参ず
Growth Process
あの日に固く封をした 洋服屋の紙袋
君とよく通った店の 少し大きなロゴがある

ガムテープで閉じられた袋の中には
君に貰ったMDと赤いパーカー

不思議だな 何だかついこの間の事のような気がする

遠距離は続かないよって 先輩が言ってたっけ
あの頃はどんな事でも 越えて行ける気がしてた

あぁ甘かったんだなぁって実感するのに
そんなに時間は掛からなかったよね

ここまで連れて来た記憶 今度はちゃんと棄てるんだ

不意に街角で 君の好きだった曲を聴いた時には
また思い出してしまうかもしれないけど
それくらいなら許してくれるかな

ちょっと背伸びしたがる癖 強がりなんだけど
たまに見せる照れた顔 それが何だか可愛くて

短かったけど 結構僕ら楽しかった
どこかで偶然出会う事があれば

お互い幸せになんて 綺麗事は言わないけど
せめていい思い出だけが この胸に残っているといいね

紙袋一つ手放しただけで 随分身軽になった
まずは今日の夕飯から 考えてみようかな
そう思って 地面を蹴って笑ってみた
生きているものには

必ず最期がやって来る

それは変えられない 逃れられない

分かっていて何故それを哀しむのだろう

自分にとって必要な相手がいなくなった時の喪失感

特に親から与えられるそれが

最初で最後の試練なのだろうか

無題
冬枯れに ふと立ち止まり 君想う



凄く季節外れなんですが、昔授業の一環で作ったものです。
不意に思い出したので、忘れない内に書いておきます。

鍍金
強いねと人は言うけれど

それは本当の僕を知らないだけだ

表面だけでもそう偽らないと

臆病な自分を保っていられない

でもいつか鍍金は剥がれ落ちてしまうだろう

願わくば その時傍にいるのが

君であればいい

ego
四方を囲われた中で暮らすものを憐れと思い

そこから救ってやろうかと考える

でも駄目だ もう駄目だ

彼らはその限られた空間の中でしか

生きて行く術を知らないから

本来いるべき場所も するべき事も

何もかもを忘れてしまって

与えられたものだけを 素直に噛み砕いて行く

これはここにあるべき姿だろうか

きっとそう考える事さえも 単なるエゴなんだろう

こころ
恋は純粋な素人 愛は経験を積んだ玄人

恋は我侭を押し付ける 愛は慈しんで受け入れる

恋は争い奪う 愛は敬い護る

恋は酷く繊細で脆い 愛はただ在るだけで救われる

恋はあなたに会いたい原動力 愛はあなたを抱きしめる包容力

恋は拙く儚い 愛は巧みで悠久

恋はひとり 愛はふたり

恋はこころ 愛もこころ
四節
きみ想い きみ可愛
和の花芽吹き 小町顔
渡る風の香 仄かに甘し

きみ想い きみ恋し
草木彩り 陽の光
集めて育む 若葉の実り

きみ想い きみ哀し
色づく野山 夕や夜や
尚美しき 斑咲きの空

きみ想い きみ淡し
生けるもの皆 眠りつき
目覚めの朝を よう耐え忍ぶ

きみ想い きみ愛し
指折り数え 季節越え
そぞろ歩いて 頬の紅色
撫でて たゆたう きみ想う

ただ在る それで 心は充
始めに…
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言 … 短めの言葉
短 … 短歌、俳句など
恋 … 恋愛に関する詩や詞
現 … 現代をモチーフにした詩や詞
和 … 和をモチーフにした詩や詞
題 … 外から戴いて来たお題

人は決して他人の為に

涙を流す事は出来ない

例え誰かがこの世から消え失せても

その誰かの為ではなく

その人を失った自分自身が憐れで

涙を流すのだ

人は独りでは生きてはいけないと言うけれど

それを知っていながらも

ただただ孤独な生き物なのだ

御立ち姿 凛となし
咲くをためらう 杜若

奥に秘めたる 慟哭も
越えて揺るがじ 御心
十六夜如きに 乱れるな

誰が為在るは 杜若
先に立つ背は 見送るな
戻らぬ背にも 流れるな

拙きもので 構わない
十六夜如きに 流れるな

十六夜如きに 乱れるな
人は簡単に誰かを好きになる

そこに大した理由なんてない

けれどそれは憎しみにも当てはまる

裏を返せば

どれも同じ愛情なのだろう

水鏡
心惑わせ 美しく
心狂わし 斯くばかり

そなたに焦がるる この魂
映して清し 水鏡

心匂わせ 麗しく
心乱れし 斯くばかり

そなたに焦がるる この魂
映して悠久 水鏡

斯くて灯火 消ゆるまで
この身そなたに 捧げよう
恐るる
恐ろしさを感じるのは

生に執着があるからだ

故に

恐ろしさを覚えなくなる事が

恐ろしいのだ

死ぬことに意味はない

生きていることにも 意味はない

だから

無理しなくてもいいんだよ

Southpaw×26
祖父から譲り受けた意志 背中に負って前を向く
恐れるな 腕を振れ 「強気」と僕の闘う左腕

壁にぶつかり転んだり いい事ばかりじゃないけれど
過去を分け合い助け合う 無二の仲間が「大丈夫」
震えるようなマウンドで 聞こえた声は懐かしく
空の果てから見下ろして また嬉しそうに笑うから

ひとつひとつと 階段を昇るように ただ翔ける

背中の重みも今では かけがえのない僕の誇り
恐れるな 腕を振れ 「強気」と僕の闘う左腕

がむしゃらだった時は過ぎ 失くしたものもあるけれど
両手に抱えきれない程 大切なもの増えたんだ
僕がもらった全てのもの 一体いくつ返せるだろう
僕はこれから精一杯 それに応えて生きていこう

ひとつひとつと 階段を昇るように ただ翔ける

祖父から譲り受けた意志 背中に負って前を向く
恐れるな 腕を振れ 「強気」と僕の闘う左腕

恐れるな 腕を振れ 「強気」と僕の闘う左腕
宵蛍
あなたが紅蓮の焔なら
この身を焦がして 構わない

現の世なら 交わらぬ
ここはまほろば 漠ありし
故に二度とは 訪れぬ

ひらり ひらり
おかしき事や 宵蛍

この身を陰で 塗り潰し
朽ちて落ちても 構わない

拙く光る この身体
あなたが闇夜の道標
故に盲目 宵蛍

ひらり ひらり
おかしき事や 宵蛍
刃の花びら
咲いて 咲いて 香りで酔わせて
薄紅の化粧 身に纏い
ただ振り注ぐ花びらに きみが霞んで見えただろう

幼き頃の約束も きみも霞んで見えただろう

咲いて 咲いて ねぇ今だけは
甘い香りで 惑わせて
足元埋める薄紅の 花の命は短かろう

無邪気な笑みも約束も この恋さえも儚かろう

咲くよ 咲くよ ただきみの為
けれど今度は もう行けぬ
喩え命が凍ろうと きみと共にはもう行けぬ

きみの心に薄紅の 鋭く儚く光る棘
衝き立て 彼方の約束に 離れる支度が整った 

咲いて 咲いて 刃の花びら
もう失くす事のないように

咲いて 咲いて ねぇ今だけは
きみの面影 追わぬよう
泣くな 哀しき
泣くな 紅
瞼の裏咲く
きみの微笑み

泣くな 哀しき
泣くな 宵闇
託されし心
失わぬよう

泣くな 独りで
笑え 紅
幾年過ぎ行き
きみの微笑み

泣くな 哀しき
泣くな 紅

この刃 折れるまで
宴歌
我が身可哀さ 酔い痴れ唄え
明日の我が身と なるものを
一寸先は闇なれど さればこの身も闇となり
共にゆらゆらとけませう この背と共にとけませう

されど今宵は 欠けたる月の
もの哀しさを 背に重ね
共にゆらゆらとけませう この背と共にとけませう

我が身可哀さ 酔い痴れ唄え
今宵ばかりは 共に呑み
末に再び見えんと 欠けたる月に祈るべき

我が身可哀さ 酔い痴れ唄え
秋の夜長の 宴なるも
明日は闇へと 踏み入れ唄え
戻る道など ありはせぬ

死人と交わす盃も 届く便りもありはせぬ
戻る道など ありはせぬ